京都 救急 動物病院 「京都夜間どうぶつ診療所」

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電話番号0774-44-3139

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2016.08.10

Q.誤食してしまいました

何を誤食したかで症状や治療は異なります。いつ何をどれくらい食べたのかを確実に把握していただくことが非常に重要となります。市販されているものであれば、正確な商品名やメーカー名まで把握していただけると助かります。
 
誤食した場合は誤食後2時間以内(チョコレートの場合は6時間以内)であれば、催吐といってお薬を使って吐かせることが一番の治療となります。ただし誤食したものによっては催吐させると危険なものがありますし、すでにケイレンや嗜眠傾向(眠気が出ている状態)に陥っている場合には催吐できません。また、最近はWEB上に自宅での食塩を用いた催吐方法が載っていることがありますが、自宅での催吐は気管への誤飲を起こす危険性があり、また高ナトリウム血症という状態を起こすと命に係わりますので、おすすめしません。

 

・ 玉ねぎ・にんにく
アリルプロピルジスルフィドによってヘモグロビンが酸化することで赤血球が破壊されて、貧血が起こります。粘膜蒼白や呼吸速迫、衰弱などの症状はすべて貧血による二次的なものですので、食べた直後には何も症状はありません。貧血を起こしているのに気が付かずにいると、命に係わることもありますし、破壊された赤血球の色素によって腎臓に障害が出ることもあります。貧血を起こす摂取量や症状発現の時期は1~4日後とさまざまですので、もし誤食してしまった場合は一刻も早く吐かせることが必要です。

 

・ チョコレート
テオブロミンという中毒物質によって、心筋と中枢神経系が刺激されます。症状は2~4時間後から現れ始め、頻脈(心拍数が非常に早くなること)や高体温、嘔吐、下痢、興奮状態となります。大量に摂取するとケイレンを起こしたり昏睡状態となって、摂取から18~24時間以内に死亡することもあります。解毒剤はありません。
(Small Animal Toxicology Second Edition)

 

・ ブドウやレーズン
原因物質やメカニズムはよく分かっていませんが、摂取量によっては急性の腎不全を起こします。接種から数時間以内に嘔吐や下痢、腹痛が認められます。その後、24時間以内に乏尿や無尿状態となり、治療しなければ死亡します。
(Small Animal Toxicology Second Edition)

 

・ タバコ
ニコチンによる中毒症状で、消化管や皮膚、粘膜から急速に吸収されるため、摂取から1時間以内に嘔吐、興奮が認められます。摂取量が多いとケイレン、除脈(心拍がゆっくりになること)などが起こり、死に至ることもあります。タバコ1本で致死量に達することも多いため、すぐに診察を受ける必要があります。
(Small Animal Toxicology Second Edition)

 

・ 薬・サプリメント
お薬の種類や量によって、危険性が大きく異なります。
風邪薬や鎮痛剤は人間にとって安全でも、動物では腎不全を起こすことがあります。また、猫ちゃんではα-リポ酸というサプリメントで肝障害を起こし死亡します。
 
必ず薬の名前や用量(○mg)を把握するようにしてください。薬の誤食は成分が吸収されるのが非常に早く、特に空腹時には吸収されやすくなります。薬の種類によっては解毒剤がありますが、いかに早く治療を始めるかが重要となります。

 

・ ユリ
原因物質ははっきりしていませんが、ネコちゃんがユリを誤食すると急性の腎不全になることが分かっています。ネコちゃんは非常にユリの中毒に対して感受性が高く、ユリ科の小さな花びら2~3枚の誤食でも症状が出ると言われています。症状発現は非常に早く、摂取から1~3時間で嘔吐したり、ヨダレが多くなったりします。その後一度回復したように見えますが、治療をしないと腎臓への影響が現れ始め12~30時間後に元気がなくなり、尿の作られる量が減少し、摂取から3~7日後には亡くなります。腎臓への影響が現れ始める前にいかに早く治療をスタートするかで予後が大きく変わります。
(Small Animal Toxicology Second Edition)

 

・ キシリトール中毒
犬ではキシリトールを摂取することで、30~60分で低血糖を起こし、ときには肝障害を起こすこともあります。低血糖は非常に危険で、意識の低下やケイレン、昏睡などを起こします。中毒量は個体差がありますが、空腹時にはより少量の摂取でも症状が激しくでますので、食べた量にかかわらず、すぐに診察を受けるようにしてください。
(Small Animal Toxicology Second Edition)

 

・ エチレングリコール中毒
犬に比べて猫は非常に感受性が高く、犬の1/4量でも症状が激しく発現します。エチレングリコールを摂取すると、30分から12時間で嘔吐したり、ふらふらしたり、ケイレンを起こしたりします。12~24時間後に呼吸困難に陥り、犬で36~72時間後に、猫では12~24時間後に腎不全を起こします。

 

車の不凍液に入っていることで有名ですが、他にもさまざまなものに含まれています。冷凍庫に入れても硬くならないアイスノンは現在では高吸水性ポリマーが使われるようになっていますが、2009年以前の製品に関してはエチレングリコールが使用されているものもありますので、まずは成分を確認することが重要です。
エチレングリコールは他には氷結防止剤、ブレーキオイル、水性インク、墨汁にさまざまな量で含まれており、カークリーナー、ウィンドウウォッシャー液、住宅用洗剤(ガラス用、バス用)に含まれている場合もあります。
誤食した際には、必ず商品の成分を確認してください。
(公益財団法人 日本中毒情報センター)
(Small Animal Toxicology Second Edition)

 

・ 植物のタネ
桃や梅干しなどの植物のタネは小さければ便と一緒に排泄されますが、大きさによっては小腸で閉塞することがあります。なかには誤食したことに気が付かず、ずっと胃の中で何か月もコロコロと転がっていて、ある日突然に胃の幽門部(胃から十二指腸につながる出口)にはまり込んで、頻回に嘔吐しだすこともあります。小腸で閉塞を起こしたまま、時間が経つと腸管が壊死してしまうので早く診断・治療することが必要です。誤食したことに気が付いたら、タネは決して消化されませんので来院していただき催吐させることをおすすめします。

 

・ ひも状異物
犬や猫が遊んでいるうちに、毛糸や縫い糸などのひも状異物を食べてしまうという事故がときどき起こります。誤食後すぐに病院で異物が除去できた場合には問題がありません。しかし、誤食に気が付かず、突然の嘔吐や食欲不振で来院されるケースの方がよく認められます。
ひも状異物の場合、長さが長ければ長いほど腸がアコーディオンのように手繰り寄せられてしまい、細くて丈夫な紐では腸が裂けてしまうこともあります。経過が長くなればなるほど命に係わるため、嘔吐した場合はなるべく早く診察に来て頂くことをおすすめします。

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